SILS MARIA シルス・マリアについて

舞台となったシルス・マリア

シルス・マリアは、スイス東南部、高級山岳リゾート地で知られるサン・モリッツからバスで20分程のところにある標高1,815mの小さな集落。エンガディン地方の谷筋に沿って連なる4つの湖。その西側にあるシルス湖とシルヴァプラーナ湖の間に位置するシルスはバゼリアとマリア地区に分かれており、神秘的な湖、谷、山々の織りなす美しい風景はまさに日常とはかけ離れた別世界。車の入場が規制されているため、静寂が保たれている。トーマス・マン、ヘルマン・ヘッセ、ジャン・コクトー、マルク・シャガール、マルセル・プルーストなど多くの文人や画人が、創作のインスピレーションや安らぎを求めてこの地を訪れたことでも知られている。なかでも晩年の充実した時をシルス・マリアで過ごした哲学者ニーチェは、この地で数多くの重要な作品を着想し、現在、彼の滞在した家は記念館になっている。

“マローヤのヘビ”現象とは

スイス、エンガディン地方で見受けられる独特の気象現象。初秋の早朝に現地を訪れた人は、運が良ければ、山の合間を奇妙な“マローヤのヘビ”がはう姿を目にすることができる。この現象は、一般的には悪天候の訪れのサインであるが、湿った空気がイタリアの湖で生じて雲に変わり、マローヤ峠をうねりながら進むことで発生する。雲は伸び、広がり、漂ってシルス・マリアやシルヴァプラーナ上空の谷を通り、サン・モリッツへと向かう。その姿はまさに“ヘビ”のようで、恐ろしくも美しい壮観な雰囲気を持っている。また、エンガディン特有の気象現象としてもうひとつ有名なのが、午後の早い時間に発生する“マローヤの風”だ。通常、山谷風は昼間に谷から山へ吹き上げ、夜は山から谷へと風向きを変えるが、マローヤの風はその逆で、日中にまるで夜のように山から谷へと風が吹き降りるのである。